合計特殊出生率TFRの低下

 

 新聞やテレビで出生率として次式で表される合計特殊出生率TFRが用いられることが多い。TFRは式より,既婚・未婚に関わらず15歳から49歳までの女性の人口で,15歳から49歳までの女性から生まれた子供の数を除した値といえる。
 この出生率の低下がマスコミなどで騒がれているが,現在の年齢別出生率と女性の年齢別人口分布から考えれば自明のことである。つまり,年齢別出生率のピークは2001年のデータで29歳であり,これは近年,変化していない。一方,同年の45歳未満の女性の人口のピークは2002年で29歳にあり,それ以降,年齢別の人口が減る。なお,45歳以上はベビーブーム世代の年齢に向かって年齢別人口が増加する。つまり,年齢別出生率が一定と仮定すると現在の日本女性の年齢別人口構成により,45〜49歳の女性人口が多いこと,若年齢層に向かって年齢別人口が減少することから,合計特殊出生率TFRは減少していくことになる。年齢別出生率が大きく上昇しない限り,計算上,合計特殊出生率TFRの低下は止まらない。
 単純なことであるが,マスコミをはじめとして理解されていないようである。この短い文章が皆さんの理解の助けとなれば幸いである。


 


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Revised: 2004/08/26 .